ここまでのまとめ

これまでの記事をカテゴリー別にまとめてみました。過去記事をご覧になりたい方は「続きを読む」から入ってください。最新記事は、この記事の下にあります。では、↓をどうぞ(*'-')


2011年3月8日付けの記事まで反映済みです

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テーマ : 中国語学習 - ジャンル : 学校・教育

「核心的利益」とは一体何か

温家宝総理が野田佳彦首相と会見したときに述べた「核心的利益」と「重大な懸念」がそれぞれどれに当たるのか。ここのところメディアではそのことについて、さまざまな分析がなされています。

ここで解説しておくと、中国語における「核心利益(核心的利益)」とは中国の国益の中核をなす利益。つまり平たくいうと「譲れない一線」ということになります。具体的にいえば、は▽基本制度と国の安全の擁護▽国家主権と領土保全▽経済・社会の持続的、急速かつ健全に発展かつ安定的な発展──となっており、主に「理念」のことを指すのが一般的。

今年の一月、党の機関紙人民日報が尖閣問題をはじめて「核心的利益」と表現し、話題になりました。ただし中国の指導者がいままで、尖閣問題を核心的利益と表現したことはありません。

さてここからが本題なのですが、中国の指導者は野田首相と会見した際、どのように表現したのでしょうか。

日本のメディアやブログでは、「核心的利益」が新疆関連問題、「重大な懸念」が尖閣関連問題であるとの記事や、その反対の記事もありますが、私の見解は少々違っています。
5月13日の定例ニュース「新聞聯播」で報じられた原文を見ると分かるのではないでしょうか。

温家宝重申了中方在涉疆、钓鱼岛等问题上的原则立场,敦促日方按照中日四个政治文件的原则精神,切实尊重中方核心利益和重大关切、谨慎、妥善处理有关问题,坚持两国关系的正确方向。

訳:温家宝総理は新疆に関わる問題、釣魚島の問題などにおける中国側の原則的立場を重ねて表明し、日本側が中日の四つの政治的文書の原則的精神に基づき、中国側の核心的利益と重大な懸念を適切に尊重し、関係問題を慎重かつ適切に処理し、両国関係の正しい方向を堅持するよう促した。

ここでいう「涉疆、钓鱼岛等问题」「中方核心利益和重大关切」とどのように対応しているかで見ていくわけですが、「涉疆、钓鱼岛」「核心利益和重大关切」の並びを根拠に、「核心的利益」が新疆関連問題と判断している人が多いのです。

しかし私には1つ引っかかることがありました。それは後ろには
「和」があるのに、まえは句読点で並列にしていること。書き言葉においては字数やリズムを重視している中国語文において、これは不自然ではないかと私は感じたわけです。

加えて「和」という接続詞の取り扱い。これがあると多くの場合「和」の前後で並列された名詞を1つの大きなグループとして取り扱うことが多いのです。このため、私は
「核心利益」+「重大关切」=「涉疆」、「核心利益」+「重大关切」=「钓鱼岛」
ではないかと考えました。ちなみに中国側の「核心的利益」は理念について表現することが多いとかきましたが、「重大关切」は発生した事象についての中国側の感情を表現するものです。

もし私の分析が正しいならば温家宝が会見で提起した新疆問題の「核心利益」とはウイグル問題に代表される国家主権と領土保全、「重大关切」は世界ウイグル大会の開催を日本政府が容認したこと。尖閣問題の「核心利益」とは領土保全、「重大关切」は石原慎太郎都知事主導の尖閣諸島購入の動きを指すと言えます。

一体真相はどうなのか。どちらも譲れないものであるのは間違いなさそうです。


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テーマ : 中国問題 - ジャンル : 政治・経済

中国からの情報をどうみるか

先の記事からはや半月。なかなか更新できず、はや四月に入ってしまいました。エイプリルフールだからというわけだからなのではないのですが、今日は中国のニュースをどうやって見ていけばいいかということについて、私からの提案を一つ。

最近国内外から、ミニブログをはじめとした新興メディアが脚光を浴びています。その理由はやはり、中央や地方が運営している管制メディアの情報が「信用できない」という事実があるからなのでしょう。新興のメディアは「草の根」の声を不特定多数に届けるという意味では最良の媒体であることは間違いありません。そこには、管制メディアが報じない真のできごとをたくさん見つけることができます。

しかし、ミニブログにも「信憑性」の問題が常につきまとっていることを私たちはわすれないようにしなければいけません。今回の周永康のクーデターなどはいい例だと言えます。先の江沢民死去説もこれに準ずるものでしょう。

だからこそ、鵜呑みにしない姿勢を我々は常に持っていたい。もちろんこれは、ミニブログの内容を紹介する側も、、です。ミニブログで流したデマの内容を知らずに紹介すれば、私たちもデマ散布に加担したことになってしまいますからね。また、ミニブログの発信者その人個人のみの感想なのに、中国人全体がそう感じているように紹介してしまったら、受け手に誤解されることもあり得るでしょう。

中国のメディアの記事とミニブログの記事は信憑性に問題があるのは似ています。しかし、中国メディアの情報は、「記事の内容の裏の意図」=「中国政府の真の姿」であるという点で決定的な違いがある、、と私は思います。だからこそ、わたし自身は、管制メディアが発するメッセージの解読にこだわって行きたいと思っています。

強調しておきたいのですが、だからといって私は、中国政府のコントロール外のミニブログの書き込みを、「すべてデマだ」と決めつけて一律取り締まっている政府の姿勢を是としているわけではありません。こういう情報を中国の人たちは知りたがっているし、発信したがっている。その権利を握りつぶそうとする政府の姿勢は到底許されるものではありません。そして、「情報を取捨選択する権利」は中国においても保障されるべきだと私は考えます。

チベットや新疆などの民主化の動きは管制メディアで報じられることはほとんどないため、どうしても国外や香港台湾のメディアに頼らざるを得なくなります。これらの情報をうまく天秤にかけ、バランス良くニュースを見て、考える姿勢を私たちは身につけたいものです。

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パンドラの箱

今回の全人代でおそらく、内外のメディアで最も注目を集めたのは薄熙来重慶市党委書記だったのではないでしょうか。会議の開催期間中、彼の一挙手一投足にいちいちメディアが反応するという状況に、私も少々やりすぎなのではと思ったりしたものです。

薄熙来重慶市党委書記については、以前の記事でも取り上げましたが、実は先月の王立軍事件以降、中国の政界には不気味なほどに不自然な動きが多発していました。その1つが「雷鋒に学べ」活動です。

1960年代に実在した雷鋒氏。生前は一兵士でしたが、若くして死んだ後、毛沢東の思想を深く信奉していた模範兵士として、毛沢東氏ら指導者に大々的に取り上げられるようになります。「雷鋒のように自らを捨てて献身的社会に奉仕しよう」とする「雷鋒に学べ」活動が文革中はもとより、近年まで繰り広げられていました。

しかし、ここ数年は「雷鋒に学べ」活動はほとんど取り上げられることはなく、メディアには「雷鋒」の「ら」の字もなかった状態でした。

それが、2月中旬になって急にメディアに登場するようになりました。「雷鋒に学べ」と銘打って街頭奉仕活動やボランティア活動、果ては雷鋒を題材とした演劇や歌もテレビやラジオで大々的に報道されるようになり、雷鋒の誕生日である3月5日前後は、「赤」一色となったのです。

一連の動きを見ていると、やはり王立軍事件と「雷鋒」関連の動きがリンクしていると考えるのが一番自然であると私は思います。つまり王立軍事件で窮地に陥った薄熙来重慶市党委書記が、巻き返しのために引き起こしたのが「雷鋒に学べ」活動だといえます。

しかし、このような全国的な運動を巻き起こすためには同氏だけでは絶対に無理です。背後により重要な大物人物がいるのは確実でしょう。

しかし・・3月5日の全人代開幕以降は「雷鋒」関連報道は急に身を潜めてしまいました。海千山千がいる人代においては薄熙来氏も一人代代表に過ぎません。しかも、第2回全体会議に欠席するという不可解な行動もあり、いろいろな憶測が飛びました。

そして迎えた14日の温家宝総理の記者会見。任期最後ということもあり、感傷的に終わるのかなと思ったのですが、いつになく面白いものとなりました。

まず、聨合早報記者の中国の政治体制改革についての質問に、温家宝総理は「『四人組』粉砕以降、我々は党は若干の歴史的問題に対する決議を打ち出し、改革解放を実行してきた。しかし『文革』の過ちや封建的な影響はまだ完全に取り除かれていない」と発言しました。

その上で、「政治体制改革が成功しなければ、経済体制改革を最後まで進められず、すでに収められた成果を失ってしまう可能性がある。社会で発生した問題も根本的に解決できず、文化大革命という歴史的な悲劇が再度発生する可能性がある。責任ある党員と指導幹部は皆切迫感を持たなければならない」と指摘したのです。

「四人組」「文革」と言う言葉が温家宝総理の記者会見で飛び出すこと自体が異例中の異例とも言えます。これら一連の発言は「雷鋒に学べ」活動に象徴される最近の左派巻き返しに対する批判であることは間違いないでしょう。

極めつけは、最後にロイター通信の記者が行った王立軍事件に関する質問に対する答えでした。

温家宝総理は、この事件について中央が大いに重視していることを認めた上で、調査中であることを明かし、「重慶市政府、党委は真剣に反省し、王立軍事件から教訓を汲み取らなければならない」と名指しで重慶市を非難したのです。

さらに、「歴史がわれわれに伝えているのは、人民の利益にかなうすべての実践は、歴史の経験と教訓から真剣に汲み取ったものでなければならず、歴史と実践による検証に耐えうるものでなければならないということである。この道理は全国の人民が理解している」とし、文革のような暗黒な時代に逆行するようなことはするなと痛切に訴えました。

ここまで踏み込んだ発言を温家宝総理にさせたものは何か。実は薄熙来重慶市党委書記が行った発言が影響していたともいえそうです。

9日に開催された全人代重慶市代表団のメディア向けの開放デーで記者から「打黒(黒社会取締り)」について質問された薄熙来重慶市党委書記は、「敢同恶鬼争高下,不向霸王让寸分(悪魔と果敢に戦い、専横な人間とは一歩たりとも譲らない)」という詩を詠みました。

この詩、実は文革中の紅衛兵が所持していた小冊子の表題と同じだということで、ネットでは騒然となりました。温家宝総理がこの騒ぎを見たか見なかったのかは、定かではありませんが、これ以降中国のメディアでは「文革の過ちを繰り返すべきではない」といった論調が見られるようになりました。行き過ぎた薄熙来重慶市党委書記の行動に温家宝総理が激怒したのは想像に難くないのではないでしょうか。

「文革」という開けてはならないパンドラの箱を開けてしまった薄熙来重慶市党委書記。同氏の前途は厳しいものになりそうです。

そして15日、薄熙来氏の更迭が新華社より発表されました。この人事、9日の発言が大騒ぎになったときにすでに決まっていたともいえるのではないでしょうか
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河村発言で私が思うこと

中国で活躍されている日本人俳優矢野浩二さんが自身のブログで発表した記事に、私は強い印象を受けました。

記事の中で矢野さんは、2004年に瀋陽でゲストとして参加したトーク番組で、中国人司会者から突然前触れもなく日本の中国侵略戦争について歴史認識を求められ、頭が真っ白になったと語っています。

矢野さんのマネージャーは直ちに番組の制作者側に申し入れを行ったことで、その番組の収録はストップとなり、番組の制作者側からは後日お詫びの言葉があったといいます。日中で敏感な話題をこのような場で持ち出すのは、司会者としての礼儀を欠いていたということなのでしょう。

このエピソードを引き合いに出し矢野さんは、当時ゲストとして名古屋に招かれた南京市友好代表団に対して日中両国が見解で争っている南京事件に言及した河村市長は、「ホストとしてもう少し礼儀を払ったほうがよかったのでは」と主張しています。

河村市長は「腹を割って話す関係になりたい」から、そういう話題を持ち出したのでしょうが、劉志偉南京市党委常務委員・政法委書記との会見は居酒屋で酒を飲みながら話すものではありません。劉志偉市政法委書記は南京市代表として「友好訪問」しに名古屋に来ていたのです。

中国政府にしても、日本の首相が訪中するとなれば、その前後は各メディアを通じて日本に友好的な番組や論調を流し、「日本の首相が中国に訪問するにふさわしい」雰囲気作り・世論作りに腐心しています。間違っても抗日戦争番組や「南京大虐殺特集」などを放送することはありません。それがあっているのか間違っているのかは別として、中国側は、それが「礼儀だ」と考えているからなのでしょう。

そのような場で、南京事件を持ち出して自身の主張を展開したということは、やはり河村市長側のほうが「空気を読めなかった」といわざるを得ないでしょう。河村氏の発言で南京市をあわてさせる必要があったのでしょうか。自分の発言で南京市代表団はどうなるか、河村氏は考えを思い巡らせたことがあったのでしょうか。甚だ疑問です。

河村市長が討論したいのならば、南京市と話し合ってそういう場を設け、心行くまで話し合えばいいことです。これではTPOをわきまえない日本人といわれてもしかたがないことなのではないでしょうか。

言霊・・・という言葉がありますが、石原東京都知事の「津波で日本人の我欲を洗い流せ」発言や芥川賞に関連する発言、民主党の閣僚の失言、そして河村市長の南京事件発言と、言葉の影響力、そして言葉に宿っている魂を軽視して「言いたいことを言えばいい(相手はどうなってもいいから)」と考えている政治家が日本には多すぎると思います。言葉を操るのが政治家という職業のはずなのに・・・。

中国や韓国のマナーをあれこれいったり、「傍若無人だ」と言う前に、我がふりを直すべきなのではないでしょうか。

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繰り返される権力闘争

このところ中国や台湾のメディアをにぎわせている中共の人物は誰かと言われれば、多くの人が薄熙来重慶市党委書記と答えると思います。その理由はやはり、中共の指導者の中でえげつないまでに権力闘争に「必死」な人物だという印象を人々に与えているからなのでしょう。

その薄熙来書記でしたが、今月初め自身のキャリア初とも言える政治的危機に直面しました。自身の腹心であり、2月2日に副市長に抜擢した王立軍氏が「療養のために休暇することになった」ことが8日、重慶市政府弁公室から発表されました。さらに内外メディアは同氏が6日、在成都米国総領事館に駆け込んで助けを求めたことを報じたのです。

同氏が総領事館に駆け込んだのは組織からの取り調べを受け、逮捕されそうになったためだとも言われていますが真相はなぞのままです。報道によると、同氏はすでに北京に連行され、拘束されているとも言われています。

これが真実ならば、今年秋の中共中央政治局常務委員入りを目指していた薄熙来書記にとっては大きな痛手となります。

ただ、、歴史は繰り返すではないですが、中国ではここ数十年にわたり、党大会開催前後になると権力闘争が発生し、重要人物が追い落とされてきました。

古くは90年代、次世代のリーダーと目されてきた陳希同北京市党委書記(当時)が95年の王宝森北京市副市長の自殺で落ち目となり、1997年開催の第15期中国共産党全国代表大会(15大)を経て、98年7月には収賄罪での収監で指導者争いから脱落しています。これら一連の流れを主導したのが当時国家主席だった江沢民氏を初めとする「上海幫」だというのは、メディアや専門家の共通認識となっています。

そして・・胡錦濤政権になった2000年代には、当時上海市党委書記だった陳良宇氏が2006年に「重大な紀律問題」で市党委書記を免職され、翌2007年には党籍剥奪、そして2008年には収賄罪で懲役18年の判決を受け、収監されました。

同氏は江沢民氏を中心とした「上海幫」を構成する人物です。一時期同氏は中央に進出するのではとも言われていましたが、この事件で完全に脱落してしまいました。

さらに、同じ「上海幫」のメンバーで、一時期次世代のリーダーの一角になるのではとささやかれていた時期もあった黄菊副総理(当時)は、この事件の背後で操っている人物との疑いをかけられ、やはり落ち目となって最後は、第17期中国共産党全国代表大会(17大)直前の2007年6月に病死しています。

今回の王立軍氏の事件は過去のこれら2件の事件と全く同じパターンといえます。歴史が繰り返されるのならば、薄熙来重慶市党委書記の次期常務委員入りは難しいといえるでしょう。ただ、この事件以降も当の本人は精力的に活動しており、全く事件の影響を感じさせない印象を人に与えています。10月の第18期中国共産党全国代表大会(18大)を前に、薄熙来書記がこの「ジンクス」を打ち破れるのか、注目されます。



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南京事件発言のどたばた

河村たかし名古屋市長が20日、友好都市関係を結んでいる南京市の訪日代表団と会見した際に発言した言葉が物議をかもしています。

河村たかし市長は、南京市訪日代表団団長の劉志偉党委常務委員・政法委書記と会見した際、「南京市では当時、通常の戦闘行為はあったものの、南京事件はなかったと考えている」と発言しました。この発言が中国で非難の的となったのですが・・・。

私自身はこの発言への南京市の対応が、後手にまわっている印象を強く受けました。発言が中国メディアに載ったのは20日昼ごろ。中国新聞社では、日本の華字メディアの報道を引用しながら「事実関係」という形で、「南京事件否定発言」の前後の発言も交えながら伝えています。

また、別のメディアでは南京大虐殺記念館の館長が直ちに「南京事件がなかったなどという事実はない」と否定するコメントが寄せられたと伝えられましたが、当時会見した劉志偉書記が河村市長の発言に対してどう反応したかという報道はまったくありませんでした。

外交部報道官は同日夜の定例記者会見で、この発言についてコメントしていますが、外交部ウェブサイトの実録では一番最後のほうに掲載されている数行のみとなっています。

報道官は、「南京大虐殺は日本の軍国主義が中国侵略戦争で犯した残虐な罪であり、『鉄証如山(ゆるぎない証拠)』がある。国際社会でもこのことについてとうの昔に定説が存在する。日本の一部人士はあの歴史を正しく認識してこれに相対し、歴史の教訓を適切に汲み取るべきである」と発言しました。

正直言ってしまえば、この文章は中国が日本に歴史認識を求める際によく使用される常套句です。またこれまでの経緯を見る限りは、南京市も中国政府も「南京事件否定」という「非常に重いテーマ」であるにもかかわらず、かなり淡白な対応だったことが良く分かります。尖閣諸島での中国船の事件などでは中国政府はその日のうちに日本に迅速な表明を行うのですが、それと比べても非常に遅いという印象を受けました。

しかし、この発言の中にある「鉄証如山(ゆるぎない証拠)」という言葉が翌日以降の中国メディアで踊るようになります。歴史認識で日本に厳しく対処せよという通達が中共中央から南京市政府や各メディアに伝えられたのでしょう。

河村たかし市長は「南京事件はなかった『のではないか』」という意図で発言したのであり、「そういう意見が存在していることを踏まえたうえで腹を割って話し合える関係になろう」というのが真意であることはあきらかです。しかし中国メディアは当初から「名古屋市長が南京事件を否定」といういささか歪曲された見出しをつけ、扇動的な記事にしてしまったのです。

中国ではネットやメディアの力は絶大です。日中の歴史問題や領土問題に敏感な中国人はこのような記事にすぐさま反応し、河村たかし市長、そして南京市政府に集中砲火をあびせました。メディアも河村批判一色となりました。

あわてたのが南京市政府です。日本の共同通信は20日、劉志偉政法委書記は20日に河村たかし市長の南京事件発言を聞いた後も終始笑顔で対応し、「会見は和やかに進んだ」と報じており、そのニュースは中国でも伝わっていました。

南京市政府は21日1日で3回もコメントを発表し、市政府側の考えについて釈明しました。さらに市は21日夜に声明を出し、代表団は発言当時、その場で名古屋市に対応したとし、「日本のメディアは河村市長の発言を『選んで』報道し、南京市代表団の当時の反応を客観的に報道せず、機会に乗じて騒ぎ立てた。このことについて極めて憤慨している」と表明したのです。
 
さらに南京市は同日、名古屋市との交流の一時停止を決めました。1日に3回のコメント、1回の声明、そして交流関係の停止決定と・・・これだけで見ても南京市がどれだけ「必死」だったか良く分かります。

河村市長が発言したのは20日午前。しかし南京市代表団の帰国は21日午後でした。発言があった際、南京市側には抗議して即座に帰国という手もあったはずです。それにもかかわらず日本で滞在したということは、劉志偉政法委書記は河村市長の発言に「問題なし」と考えていたわけで、「当時笑顔で対応した」とする報道に信憑性を与えています。その後の対応は中央からの強い働きかけなのでしょう。

歴史問題というと日中共に非常に感情的になってしまいますが、お互い硬軟織り交ぜて臨機応変に対処すべきだということを今回の事件が私たちに教えてくれているような気がします。

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徐々に復活

先回の記事からすでに1カ月余り。すでに正月も旧正月も過ぎて、「あけましておめでとう」ともいえない時期になってしまいました。プライベートの方も、無事片付いてきており、今後は徐々に記事を増やしていこうかと思っています。

さて。もう2012年も2月半ばとなってしまいましたが、今年の中国の展望を。

私自身は、今年中国の最大の「カギ」は経済だと思っています。昨年後半以降、中国のGDPの伸びが鈍化したことは皆さんご存知ではないでしょうか。今年以降も、中国の経済は衰退の一途をたどるのは避けられないでしょう。今後は政府が如何にして中国経済のソフトランディングを実現させることができるかが、大きな注目点となってきます。

これまで中国政府は中国国内の経済発展を通じて、国民のナショナリズムを維持し、政府に対する不満を封じ込めてきました。国民も「政府批判するぐらいなら経済活動を」の考えだったに違いありません。しかし経済にかげりが見え始めた一昨年年末から昨年、そして今年にかけて、中国の一般市民が政府に対して声を上げるケースが増えてきたように感じられます。

これは、国内の経済状況が上手くいかなくなったことに対する政府への不満が、13億の国民のなかにたまりつつあることを示していると言えます。政府は経済のてこ入れ政策を進めていますが、いずれ袋小路に至ることは確実です。そしてこのまま経済が立ち行かなくなった場合、どうなるか。

中国政府が不満の捌け口を力で封じ込めたり、他のものにナショナリズムを求め、不満解消に努めるのが自然の流れとなるでしょう。そしてナショナリズムを尖閣諸島や南シナ海を初めとした領土問題に求める可能性は十分考えられると思います。中国政府が経済不振のはけ口を日本に向けてきたら・・・日中関係が後退して中国人の対日感情が悪化し、7、8年前に上海で発生したような感情的な抗議デモが起こるかもしれません。

そうならないよう、私たちは中国の経済状況について注視する必要があります。中国経済の後退は私たち日本にとってなんらメリットのないことであることをしっかり認識すべきです。

そのほかに・・・習近平副主席が今年のキーパーソンになることは間違いないでしょう。今年10月に実現する指導者の交代で、習近平副主席は名実共に中国の最高指導者となります。彼の対日姿勢がどのようなものであるのか、外交手腕はどうなのか。私たちは見極める必要があります。今日から訪米することになっていますが、「お手並み拝見」といったところでしょう。

まぁ金正恩よりは聡明そうですから、暴走するなんてことは多分ないとは思いますが。

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金正日の死は事前に中国に伝えられたのか

金正日総書記が17日に死亡したというニュースが19日に世界を駆け巡りました。

韓国のメディアの中央日報は、このニュースを朝鮮が死亡した17日に、すでに中国に伝えていたと報じています。この報道が事実とすれば、中国は死を事前に知っていたということなのですが・・・果たしてそうなのでしょうか。私自身はその可能性は余り高くないと見ています。

私がその根拠としているのが中共中央政治局常務委員の動向です。中朝は「血で打ち固められた関係」であり、中国にとって安全保障上極めて重要な位置にあるわけですから、「朝鮮の最高指導者が死んだ」ことが17日にわかったならば、安全保障上の協議やそのほかの対応で、常務委員9人とも北京を離れることを慎み、スケジュール調整に気を配るはずです。

しかし、実際には温家宝国務院総理が翌日の12月18日から江蘇省を視察しています。しかも、視察を終えたのは死亡が発表された19日の当日だったのです。

このスケジュールがたたったのでしょうか。20日に胡錦濤主席が在京朝鮮大使館を弔問に訪れた際、弔問に随行したのは呉邦国全人代常務委委員長、李長春常務委員、習近平副主席のみで、温家宝総理は含まれませんでした。

その代わり温家宝国務院総理は21日、残りの賈慶林全国政協主席、李克強副総理、賀国強中央紀律検査委書記、周永康中央政法委書記を引き連れて弔問しています。2回も分けて弔問と言うところに不自然さを大いに感じました。

ここから、温家宝総理は19日に一報を聞いて視察を早々切り上げて北京にとんぼ返りしたこと、そして習近平副主席が20日から東南アジア歴訪を控えていることから弔問を20日にしたことなどが想像できてしまいます。つまりは「中共のあわてぶり」も少々感じられてしまうのです。

外交部は初日の19日こそ弔意を金正日総書記に示しましたが、そのあとは徹底した管制を敷いています。外交部のウェブサイトを見てみると、20日や21日の定例記者会見はほとんどないに等しい内容になっています。

しかし、20日の定例記者会見の内容を見ると冒頭に「劉為民報道官は朝鮮情勢や中朝関係に関する中国側の見解を説明するとともにそのほかの質問に答えた」と書いてあるにもかかわらず、中身は「朝鮮情勢や中朝関係に関する中国側の見解」について全く触れられていません。このことからも20日の会見は「朝鮮情勢や中朝関係に関する中国側の見解」がほとんどだったのでしょう。21日もいわずものがなです。

ここに私は、「まず弔意を示しておいて、中国側の方向性が決まるまでは報道管制」という中国側の意図を感じ取ることができました。いわば「考え中」と言う感じでしょうか。

もちろん、真相はわかりません。・・というか関係者しかわからないでしょう。中国側は朝鮮問題について次にどういうアクションをとるのか。ここに注目してみたいと思います。

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中韓摩擦

日本のメディアでも大きく取り上げられていますが、12日午前、韓国の排他的経済水域で違法操業をしていた中国漁船を韓国の海上警備隊が取り締まろうとしたころ、漁船の漁民の襲撃に遭い、韓国の警備隊員1人が刺殺されるという事件が発生しました。

韓国ではこの事件に対して激しい抗議行動が発生しており、外交問題にまで発展しかねない状況となっています。

韓国側の怒りは主に、自国の排他的水域内で発生した「殺人事件」に対して、中国の政府・民間からの謝罪の言葉が一切ないという点にあります。13日の外交部記者会見でも、報道官は「遺憾」の意を表明したものの、謝罪はありませんでした。

実際のところ、中国漁民と韓国警備艇との衝突は今回だけではありません。これ以前にも警備艇との衝突で中国の漁民が逮捕され、韓国に連行されたケースがいくつかありました。北朝鮮に拿捕され、連行されたケースさえもあります。

中国漁民のこのような行動はゆるされるものではありません。しかし私は、このような行動が助長されているきっかけの1つとして、昨年の尖閣諸島問題があると見ています。昨年の尖閣諸島問題では日中の領土問題にまで発展しました。その結果、実際には不法行為を働いていた船長が結果的にはおとがめなしに釈放され、中国では英雄視されました。このいきさつをほかの漁民も見逃すはずがありません。

つまり、この船長の釈放は「領土問題に持ち込めば何をやっても大丈夫」という悪しき前例を作ってしまったことになります。先の尖閣問題では日中共に警備が厳重となり、問題化した事件はこの件のみとなりましたが、この事件を境に、代わりに韓国や北朝鮮などの近海での衝突が何件か報じられるようになりました。

漁民自身も大きな問題を抱えています。その1つが今年6月に渤海湾で発生した油田の原油漏れ事故です。発生からまる半年たっていますが、原油漏れは11月まで報告されていました。油漏れで現在、渤海湾海域における生態系は壊滅的となっています。養殖の貝や魚は不作になっており、漁民たちは原油漏れ事故による損害賠償訴訟を準備しているとも言われているのです。

ですから渤海湾海域の漁獲は大幅に落ち込んでいることが推測されます。この地域の漁民の生活は推して知るべしといえるでしょう。そのような切羽詰った状態が漁民たちを凶行に駆り立てたのだといえます。

ではこの事件で、中韓関係はこれからどうなるか。私はここ数日のメディアの状況から、「この問題を外交レベルにまで発展させたくない」という中国側の思惑が見え隠れしていると感じています。

外交部報道官も、「遺憾」と述べるとともに、「中国側は韓国側と積極的に協力し、関係問題を早期かつ適切に処理したいと考えている」と答えるにとどまっています。主要メディアも、この事件については最小限の扱いであるという印象を私は受けています。極力中国の大衆の目に触れさせたくないという意図があるように感じます。

中国には半島問題について「6カ国協議の再開」という至上命題があり、この問題解決には韓国側の協力が不可欠と考えています。このような問題で中韓双方の世論を悪化させたくないと考えているのでしょう。

経済工作会議開催で政治局常務委員がメディアにあまり出てこられない状況で発生した今回の事件。中国側の対応に注目したいと思います。




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