日本語らしい訳文にするには(主語編)
- 2015/04/03
- 19:56
中国語を日本語訳する際、やはり最重要となるのは「日本語らしい訳文」を作ることでしょう。私は日本人ではありますが、やはりこのためにかなり苦労しました。訳文に引っ張られず、グーグル翻訳にならないようにするには、やはり当ブログの記事「日本語らしい訳文を作るには」でも説明したとおり、やはり「「信、達」をしっかりと守るべきでしょう。
ここではその中で「達」について私自身の考えを説明したいと思います。
日本語らしい訳文を作るために必要なものの1つは、主語を明示することです。よく「日本語は主語がない言語だ」とはいいますが、それは話し言葉の中の話。英語のように、必ず主語が明確になっている言語の翻訳をする場合はそれでもまだ、容易なのですが、中国語の場合それが明確でない場合が多々あります。文中で予告もなく変わったりするのです。ここをはっきりとさせる必要があります。
主語が変わる話はまた別の記事にまわすとして、今日は日本語らしい訳文を作るうえでもうひとつ1つ必要なことをお話します。それは「無機質なもの、抽象的なもの、『~こと』といった文節をできるだけ主語にしない」です。日本語の場合、特に「無機質なもの、抽象的なもの」が主語に来ることはありません。一番読みやすいのは「人」でしょう。ですから、私の場合、文を一通り読んでみて、人がないかどうか見て、これを主語にし、受動態、自動詞、他動詞に変換しなおして、文を組み立てなおしてみるようにしています。
例を挙げてみましょう。
國民黨團春酒 馬總統謝王金平の記事の中でこういう一文があります。
中國國民黨政策委員會中午在台大醫院國際會議中心喝春酒,邀馬總統、副總統吳敦義、國民黨主席朱立倫、王金平、行政院長毛治國和國民黨籍立法委員聚餐,聯絡感情
普通ならばこれを訳す場合
中国国民党政策委員会は昼、台大医院国際会議センターで春節の宴会を開催し、馬総統、呉敦義副総統、朱立倫国民党主席、王金平氏、毛治国行政院長、国民党所属の立法委員を招いて会食してもらい、交流してもらった。
となります。「会食してもらい、交流してもらった」のところがなんとも気持ち悪いことにお気づきだと思います。このもやもやは「開催し、」のところをぶったぎって、後の文を「馬総統」以下の人たちを主語にすれば一発解決します。
中国国民党政策委員会は昼、台大医院国際会議センターで春節の宴会を開催した。招きを受けた馬総統、呉敦義副総統、朱立倫国民党主席、王金平氏、毛治国行政院長、国民党所属の立法委員が会食し、交流した。
となります。
このように、主語を変えてみると日本語の通りがよくなる例は中国語の文にはたくさんあります。
もうひとつ例を挙げましょう。
記事「总政治部:在党委领导工作中贯彻落实战斗力标准」の中で、このような一文があります。
~确保战斗力标准在部队建设各个领域、各项工作中贯彻落实,确保部队全部心思向打仗聚焦、各项工作向打仗用劲。
これをこのように訳すとどうか。
「戦闘力の基準が部隊建設の各分野、各工作の中で貫徹・実施されることを確保し、部隊のすべての気持ちが戦うことに集められ、各工作が戦うことに向けて力を入れるよう確保する」
「各工作が戦うことに力を入れる」の時点で「?」ではあるのですが、この原因は上にある「部隊のすべての気持ち」という抽象的なものを主語にしてしまったことにあります。「部隊」という組織を主語にできる可能性があるにもかかわらず、です。
ですから後半はこうすべきでしょう。
「部隊がすべての気持ちを戦うことに集中させ、戦うことに目を向けて各工作に力を入れることを確保する」
どうでしょうか。ついでに今日のメーンニュースである周永康の起訴のニュースにも今日のテーマの文がありました。
ここにある「天津市人民检察院第一分院起诉书指控」を「天津市人民検察院第1分院の起訴状は~と告訴した」とやるか「天津市人民検察院第1分院は起訴状で~と告訴した」やるか、、です。あなたならどちらを選びますか。
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ここではその中で「達」について私自身の考えを説明したいと思います。
日本語らしい訳文を作るために必要なものの1つは、主語を明示することです。よく「日本語は主語がない言語だ」とはいいますが、それは話し言葉の中の話。英語のように、必ず主語が明確になっている言語の翻訳をする場合はそれでもまだ、容易なのですが、中国語の場合それが明確でない場合が多々あります。文中で予告もなく変わったりするのです。ここをはっきりとさせる必要があります。
主語が変わる話はまた別の記事にまわすとして、今日は日本語らしい訳文を作るうえでもうひとつ1つ必要なことをお話します。それは「無機質なもの、抽象的なもの、『~こと』といった文節をできるだけ主語にしない」です。日本語の場合、特に「無機質なもの、抽象的なもの」が主語に来ることはありません。一番読みやすいのは「人」でしょう。ですから、私の場合、文を一通り読んでみて、人がないかどうか見て、これを主語にし、受動態、自動詞、他動詞に変換しなおして、文を組み立てなおしてみるようにしています。
例を挙げてみましょう。
國民黨團春酒 馬總統謝王金平の記事の中でこういう一文があります。
中國國民黨政策委員會中午在台大醫院國際會議中心喝春酒,邀馬總統、副總統吳敦義、國民黨主席朱立倫、王金平、行政院長毛治國和國民黨籍立法委員聚餐,聯絡感情
普通ならばこれを訳す場合
中国国民党政策委員会は昼、台大医院国際会議センターで春節の宴会を開催し、馬総統、呉敦義副総統、朱立倫国民党主席、王金平氏、毛治国行政院長、国民党所属の立法委員を招いて会食してもらい、交流してもらった。
となります。「会食してもらい、交流してもらった」のところがなんとも気持ち悪いことにお気づきだと思います。このもやもやは「開催し、」のところをぶったぎって、後の文を「馬総統」以下の人たちを主語にすれば一発解決します。
中国国民党政策委員会は昼、台大医院国際会議センターで春節の宴会を開催した。招きを受けた馬総統、呉敦義副総統、朱立倫国民党主席、王金平氏、毛治国行政院長、国民党所属の立法委員が会食し、交流した。
となります。
このように、主語を変えてみると日本語の通りがよくなる例は中国語の文にはたくさんあります。
もうひとつ例を挙げましょう。
記事「总政治部:在党委领导工作中贯彻落实战斗力标准」の中で、このような一文があります。
~确保战斗力标准在部队建设各个领域、各项工作中贯彻落实,确保部队全部心思向打仗聚焦、各项工作向打仗用劲。
これをこのように訳すとどうか。
「戦闘力の基準が部隊建設の各分野、各工作の中で貫徹・実施されることを確保し、部隊のすべての気持ちが戦うことに集められ、各工作が戦うことに向けて力を入れるよう確保する」
「各工作が戦うことに力を入れる」の時点で「?」ではあるのですが、この原因は上にある「部隊のすべての気持ち」という抽象的なものを主語にしてしまったことにあります。「部隊」という組織を主語にできる可能性があるにもかかわらず、です。
ですから後半はこうすべきでしょう。
「部隊がすべての気持ちを戦うことに集中させ、戦うことに目を向けて各工作に力を入れることを確保する」
どうでしょうか。ついでに今日のメーンニュースである周永康の起訴のニュースにも今日のテーマの文がありました。
ここにある「天津市人民检察院第一分院起诉书指控」を「天津市人民検察院第1分院の起訴状は~と告訴した」とやるか「天津市人民検察院第1分院は起訴状で~と告訴した」やるか、、です。あなたならどちらを選びますか。
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