「安全」という言葉
- 2015/04/04
- 18:29
中国語翻訳者をしていると、いろいろな言葉と格闘する機会があるのですが、その一つに中国語の「安全」があります。
この「安全」という言葉、もちろん日本語でいう「安全」にあたる意味もあるのですが、それ以外にカバーしている範囲が実に広い。それはこの言葉が英語でいう「safety」「security」から来ていることによります。
ニュース記事の場合、この「安全」の前にその広い意味を補完する別の語句があてられることが一般的です。
例えば、こんな語句はどうやって訳しましょうか。ということで並べてみました。中国語、英語、日本語と対比で並べてみました。
中国語 英語 日本語
国家安全 National Security 国家安全保障
核安全 Nuclear Security 核安全保障 原子力安保
上記の中国語の語句の場合は、英語では「Security」という語句が当てられます。つまり日本語訳では安全「保障」とするほうが適切です。しかし、別の訳語を探す必要が出てくる場面もあります。
例えば「社会安全」「公共安全」 はどうでしょうか。
以前お話ししたように、ここの中国語でいう「社会」は英語でいう「Social」ではなく「Public」の意味として用いられます。そして「安全」は「Safety」の意味として使われます。そうすると、結果的に前後の語句を組み合わせて一セットで、日本語でいう「治安」という意味になるのです。
ちなみに中国語にも「治安」という言葉があります。もちろん日本語の「治安」と同じ意味で用いられることもありますが、それだけではありません。元々中国語の「治安」の語句の構造は「治(対策)」+「安(中国語で言う『社会安全』=日本語でいう『治安』)」となっています。つまり「治安対策」という訳が適切でしょう。専門用語でいえば、「治安維持」になるのではないでしょうか。
発展形として中国語の「保安」があります。これも同じような語句構造で「保」+「安」となっていますが、ここでいう「安」は中国語の「社会安全」ではなく、個人の「安全」。つまり個人の「安全」を「守る」となり、これは日本語でいう「警備」となります。
これらはまだどちらの英訳から来ているのか分かりやすいほうです。このほかに「传统安全观」「安全隐患」など、「全くといっていいほど」どれかわからないものもあります。こういうとき私の場合はそのまま「安全」としてしまいます。下手に別の訳語を当ててしまうよりかはリスクが「いくらか」おさえられるからです。
このように場面場面によって変幻自在に意味を変える「安全」という言葉。頭悩ませる日々はまだ続きそうです。
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この「安全」という言葉、もちろん日本語でいう「安全」にあたる意味もあるのですが、それ以外にカバーしている範囲が実に広い。それはこの言葉が英語でいう「safety」「security」から来ていることによります。
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例えば、こんな語句はどうやって訳しましょうか。ということで並べてみました。中国語、英語、日本語と対比で並べてみました。
中国語 英語 日本語
国家安全 National Security 国家安全保障
核安全 Nuclear Security 核安全保障 原子力安保
上記の中国語の語句の場合は、英語では「Security」という語句が当てられます。つまり日本語訳では安全「保障」とするほうが適切です。しかし、別の訳語を探す必要が出てくる場面もあります。
例えば「社会安全」「公共安全」 はどうでしょうか。
以前お話ししたように、ここの中国語でいう「社会」は英語でいう「Social」ではなく「Public」の意味として用いられます。そして「安全」は「Safety」の意味として使われます。そうすると、結果的に前後の語句を組み合わせて一セットで、日本語でいう「治安」という意味になるのです。
ちなみに中国語にも「治安」という言葉があります。もちろん日本語の「治安」と同じ意味で用いられることもありますが、それだけではありません。元々中国語の「治安」の語句の構造は「治(対策)」+「安(中国語で言う『社会安全』=日本語でいう『治安』)」となっています。つまり「治安対策」という訳が適切でしょう。専門用語でいえば、「治安維持」になるのではないでしょうか。
発展形として中国語の「保安」があります。これも同じような語句構造で「保」+「安」となっていますが、ここでいう「安」は中国語の「社会安全」ではなく、個人の「安全」。つまり個人の「安全」を「守る」となり、これは日本語でいう「警備」となります。
これらはまだどちらの英訳から来ているのか分かりやすいほうです。このほかに「传统安全观」「安全隐患」など、「全くといっていいほど」どれかわからないものもあります。こういうとき私の場合はそのまま「安全」としてしまいます。下手に別の訳語を当ててしまうよりかはリスクが「いくらか」おさえられるからです。
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