国に対するこだわり
- 2015/04/24
- 11:21
中国は香港や台湾の問題を抱えていることもあり、「国であるかどうか」ということにかなりこだわりがあります。そのこだわりは、日々マスコミが配信しているニュース記事にも大きく反映されています。
例えば、われわれは外国を「国外」、日本の中のことを「国内」と単純に言いますが、中国語には「国内」「国外」という語句のほかに、「境外」「境内」という言い回しがあり、使い分けています。
大陸メディアのニュース記事で出てくる「境内」という言葉は、「中華人民共和国が直接統治している地域」を指します。つまり「香港、台湾、マカオ以外の国内」「香港、台湾、マカオから見て『内地』と呼ばれる地域」と考えるといいでしょう。逆に「境外」と言った場合は、「香港、台湾、マカオ」といった「中華人民共和国が直接統治していない地域」となります。これはいわゆる「1国2制度」の観点から、中共が考え出した「苦肉の策」ともいえるでしょう。
そして大陸メディアのニュース記事の中で「国内」「国外」が出てきた場合は、「香港、台湾、マカオを含めた中華人民共和国」の「内」と「外」と考えるといいと思います。
これはあくまで中国国内の記事でのお話。国外ニュースだった場合はどうなるのでしょうか。
例えば、領土紛争を抱える朝鮮半島の場合、北朝鮮で発生した出来事は韓国からしたら「国外」にはなりません。逆に韓国で発生した出来事は北朝鮮からしたら「国外」にはなりません。中国の場合「中立」と言う立場から、このような国境線が確定していない国については一律「境内」という言葉を使用しています。
・・・と書いてみましたが、実は外国に関するトピックについては、中国語ではそれほど厳格になっているわけではありません。「国境」の「内」か「外」かということを強調したい場面では「ロシア境内」とか「パキスタン境外」など使用することは多々あったりします。この場合は、日本語訳の時点で「国内」という語句に置き換えてしまっても差し支えないと私は考えています。
あと、国際会議でよく出てくる「各国」という言葉。これも使い分けています。APECのような国際組織の場合、「国」だけが加盟しているわけではありません。香港や台湾など「(中共が国と認めていない)地域」が加盟しているケースもあります。これらを乱暴に「各国」としてしまっては、中共の方針にそむくことになります。
このようなことを避けるために中国語では「各方」という語句で使い分けています。朝鮮半島核問題の6カ国協議を中国語では、「六方会谈」と言いますが、これも会談参加国の中に、北朝鮮と韓国が入っているための、中国なりの配慮と言えるでしょう。
私は、中国語と日本語同時に配慮すべきとの立場から、「六方会谈」については「6者会談」としています。
「各方」の話にしても、「境内」「境外」の話にしても、これらのことはわたしはこれまでニュース記事に当たってきた上でのあくまで「一般的」なお話。例外も実はいくつか存在します。ですから、「これだから絶対こういう風に訳さなきゃ」と構えるのではなく、この知識を頭の隅に置いておいて、柔軟に訳し分けることが大切です。
そして例外を見つけたときに逆に自分自身の知識としてストックしておき、「こういう場面はこういう例外があるんだ」という認識を常に持っていることが重要になってくるでしょう。
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例えば、われわれは外国を「国外」、日本の中のことを「国内」と単純に言いますが、中国語には「国内」「国外」という語句のほかに、「境外」「境内」という言い回しがあり、使い分けています。
大陸メディアのニュース記事で出てくる「境内」という言葉は、「中華人民共和国が直接統治している地域」を指します。つまり「香港、台湾、マカオ以外の国内」「香港、台湾、マカオから見て『内地』と呼ばれる地域」と考えるといいでしょう。逆に「境外」と言った場合は、「香港、台湾、マカオ」といった「中華人民共和国が直接統治していない地域」となります。これはいわゆる「1国2制度」の観点から、中共が考え出した「苦肉の策」ともいえるでしょう。
そして大陸メディアのニュース記事の中で「国内」「国外」が出てきた場合は、「香港、台湾、マカオを含めた中華人民共和国」の「内」と「外」と考えるといいと思います。
これはあくまで中国国内の記事でのお話。国外ニュースだった場合はどうなるのでしょうか。
例えば、領土紛争を抱える朝鮮半島の場合、北朝鮮で発生した出来事は韓国からしたら「国外」にはなりません。逆に韓国で発生した出来事は北朝鮮からしたら「国外」にはなりません。中国の場合「中立」と言う立場から、このような国境線が確定していない国については一律「境内」という言葉を使用しています。
・・・と書いてみましたが、実は外国に関するトピックについては、中国語ではそれほど厳格になっているわけではありません。「国境」の「内」か「外」かということを強調したい場面では「ロシア境内」とか「パキスタン境外」など使用することは多々あったりします。この場合は、日本語訳の時点で「国内」という語句に置き換えてしまっても差し支えないと私は考えています。
あと、国際会議でよく出てくる「各国」という言葉。これも使い分けています。APECのような国際組織の場合、「国」だけが加盟しているわけではありません。香港や台湾など「(中共が国と認めていない)地域」が加盟しているケースもあります。これらを乱暴に「各国」としてしまっては、中共の方針にそむくことになります。
このようなことを避けるために中国語では「各方」という語句で使い分けています。朝鮮半島核問題の6カ国協議を中国語では、「六方会谈」と言いますが、これも会談参加国の中に、北朝鮮と韓国が入っているための、中国なりの配慮と言えるでしょう。
私は、中国語と日本語同時に配慮すべきとの立場から、「六方会谈」については「6者会談」としています。
「各方」の話にしても、「境内」「境外」の話にしても、これらのことはわたしはこれまでニュース記事に当たってきた上でのあくまで「一般的」なお話。例外も実はいくつか存在します。ですから、「これだから絶対こういう風に訳さなきゃ」と構えるのではなく、この知識を頭の隅に置いておいて、柔軟に訳し分けることが大切です。
そして例外を見つけたときに逆に自分自身の知識としてストックしておき、「こういう場面はこういう例外があるんだ」という認識を常に持っていることが重要になってくるでしょう。
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